常子、ポロポーズされる6
「今は、結婚はできません、すみません」
「謝らないでください。僕も、心のどこかで
そういわれるのではと思っていました」
帰り道、神社のところで
星野は言った。
「実は大阪へ一人で行くのは怖くて。
言葉が違うっていうか
怒られているみたいに聞こえる
ので、一人だと心細くて」
といった。
「それが結婚の理由ですか」と
常子は笑った。
「いいえ」、と星野は笑って
「常子さんの笑顔を見て安心した」と
いった。
常子は「さきほど、心のどこかで
断られる気がしてと言いましたが
なぜですか?」と聞いた。
「僕が思いを寄せている常子さんはそうされる
と思ったからです」という。
「自分のことは後回しにして、全力で家族を
守る常子さんだからこそ好きになったのです。
僕を選ぶ常子さんは僕が好きな常子さんでは
ありません。
家族を選ぶ常子さんこそ僕が好きな常子さん
です・・・
この辺でお別れしましょう。
遠く離れていても、常子さんとみなさんのお幸せを
お祈りしています。」
「ありがとうございます。」
「さよなら、お元気で。」
「さようなら・・・」
星野は口を真一文字に閉じて
笑顔を作り一礼をした。
「さようなら」
常子も一礼をした。
星野はくるりと
背中を常子に向けて歩き始めた。
星野の足音を聞きながら
常子も帰路についた。
足音がどんどん聞こえなくなっていく。
常子は立ち止まり
ふりむいた。
もう
星野の姿は
なかった。
いつものようにただいま帰りましたと
常子はいった。
その様子を見た美子が心配した。
「ごめんね、心配かけて」と常子が
いうと
美子は「心配するのは当たり前、あやまら
なくてもいい」といった。
鞠子は二人が仲直りしたのを驚いて
喜んだ。
君子は常子の様子が気になった。
翌日、駅では星野が学友たちに
見送られて汽車に乗った。
いっぱいの乗客の中で
目の前に座っている若い夫婦と
その小さな子供を見て
星野は微笑んだ。
そして
星野は思い出していた。
常子と出会った日のこと
怪我をしたときハンカチで
怪我の手当てをしてくれたこと
月がきれいですねと初告白をした
ときのこと
この間の・・・
私たち似てますね。
きっといい夫婦になれると思いますと
いったときのこと・・
汽車はどんどん走って行く。ふと
河川敷に人影があるのに気が付いた。
星野はびっくりして
窓を開けた。
常子だった。
星野は
「常子さ~~~~~ん」
「常子さ~~~~~~ん」
と手を振って呼んだ。
常子は汽車から手を振る星野に
深々と一礼をした。
星野はじっと見ていた。
汽車は走っていく
常子は一礼して別れと
お礼をいっているようだった。
星野はじっと見ていた。
やがて汽車は去って行った。
家に帰った常子はいつも通り
「ただいま帰りました」という。
森田たちは星野は今頃
どのあたりにいるだろうかと
話をしていた。
常子は
二階へあがって仏壇の前に座った。
君子は後ろに座って
「星野さんと何かあったの」と聞く。
「常子?」
「結婚を申し込まれました。」
「けっこん?」
「でもお断りをしました。」
「どうしてそんな大事なことを
今まで黙っていたの?あなたは
あなたのしたいようにしなさいって
いったでしょ。」
「私はまだここにいたいのです。」
常子は君子のほうに体をむけた。
「鞠子と美子がどう成長するか
もう少し見守りたいのです。
ととの約束は
関係ありません。
私は鞠子と美子かかとも離れたくあり
ません。」
「それが
あなたの幸せなの?」
「はい・・・
でも、やっぱり、星野さんとのお別れは
辛いものですね。」
君子は常子を抱きしめた。
「こうしていれば誰にも聞こえないわ。」
常子は君子の胸の中で
大声で泣きじゃくった。
*********************
常子さん
月がきれいですねと
いったとき
あれは、やはり告白だったのです。
そう思います。
鞠子は、あれは夏目漱石の逸話だと
いいましたが、
星野は本気で
アイラブユーをいいたかったと
思います。
このドラマの脚本はびっくりする
ほど緻密に書かれています。
星野がいった
もし僕を選ぶ常子さんなら僕が好きな常子
さんではない
といった言葉・・・
あれは、かなり星野にとってはぎりぎり
守った自分のプライドではと
思います。
だってあれが本当なら
常子は試されたという事でしょう。
星野はそんな残酷なことは
しない男です。
そして緊張しているときどうでも
いい半紙をするというくせは
あの、大阪の言葉は怒られているみたい
に聞こえるという話だと
思います。
もう二度と一緒に歩くことは
ないだろうと思われて
星野はぐっと来たからあの話を
して、常子を笑わせたと思います。
常子は笑いました。
だから、結婚しましょうと言ったのかと。
でも、本音は
そうではありませんが・・ということ
です。
「この辺でお別れしましょう。」
そうこれ以上話をすると
笑顔で別れることが
できなくなります。
「遠く離れていても常子さんとご家族の
お幸せをお祈りしています。
さようなら・・・・」
未練もなく、潔い別れです。
きれいな恋愛ドラマを見ているような
心が洗われるような
別れのシーンです。
・・・・
そして君子の心遣いに
感動しました。
「今は、結婚はできません、すみません」
「謝らないでください。僕も、心のどこかで
そういわれるのではと思っていました」
帰り道、神社のところで
星野は言った。
「実は大阪へ一人で行くのは怖くて。
言葉が違うっていうか
怒られているみたいに聞こえる
ので、一人だと心細くて」
といった。
「それが結婚の理由ですか」と
常子は笑った。
「いいえ」、と星野は笑って
「常子さんの笑顔を見て安心した」と
いった。
常子は「さきほど、心のどこかで
断られる気がしてと言いましたが
なぜですか?」と聞いた。
「僕が思いを寄せている常子さんはそうされる
と思ったからです」という。
「自分のことは後回しにして、全力で家族を
守る常子さんだからこそ好きになったのです。
僕を選ぶ常子さんは僕が好きな常子さんでは
ありません。
家族を選ぶ常子さんこそ僕が好きな常子さん
です・・・
この辺でお別れしましょう。
遠く離れていても、常子さんとみなさんのお幸せを
お祈りしています。」
「ありがとうございます。」
「さよなら、お元気で。」
「さようなら・・・」
星野は口を真一文字に閉じて
笑顔を作り一礼をした。
「さようなら」
常子も一礼をした。
星野はくるりと
背中を常子に向けて歩き始めた。
星野の足音を聞きながら
常子も帰路についた。
足音がどんどん聞こえなくなっていく。
常子は立ち止まり
ふりむいた。
もう
星野の姿は
なかった。
いつものようにただいま帰りましたと
常子はいった。
その様子を見た美子が心配した。
「ごめんね、心配かけて」と常子が
いうと
美子は「心配するのは当たり前、あやまら
なくてもいい」といった。
鞠子は二人が仲直りしたのを驚いて
喜んだ。
君子は常子の様子が気になった。
翌日、駅では星野が学友たちに
見送られて汽車に乗った。
いっぱいの乗客の中で
目の前に座っている若い夫婦と
その小さな子供を見て
星野は微笑んだ。
そして
星野は思い出していた。
常子と出会った日のこと
怪我をしたときハンカチで
怪我の手当てをしてくれたこと
月がきれいですねと初告白をした
ときのこと
この間の・・・
私たち似てますね。
きっといい夫婦になれると思いますと
いったときのこと・・
汽車はどんどん走って行く。ふと
河川敷に人影があるのに気が付いた。
星野はびっくりして
窓を開けた。
常子だった。
星野は
「常子さ~~~~~ん」
「常子さ~~~~~~ん」
と手を振って呼んだ。
常子は汽車から手を振る星野に
深々と一礼をした。
星野はじっと見ていた。
汽車は走っていく
常子は一礼して別れと
お礼をいっているようだった。
星野はじっと見ていた。
やがて汽車は去って行った。
家に帰った常子はいつも通り
「ただいま帰りました」という。
森田たちは星野は今頃
どのあたりにいるだろうかと
話をしていた。
常子は
二階へあがって仏壇の前に座った。
君子は後ろに座って
「星野さんと何かあったの」と聞く。
「常子?」
「結婚を申し込まれました。」
「けっこん?」
「でもお断りをしました。」
「どうしてそんな大事なことを
今まで黙っていたの?あなたは
あなたのしたいようにしなさいって
いったでしょ。」
「私はまだここにいたいのです。」
常子は君子のほうに体をむけた。
「鞠子と美子がどう成長するか
もう少し見守りたいのです。
ととの約束は
関係ありません。
私は鞠子と美子かかとも離れたくあり
ません。」
「それが
あなたの幸せなの?」
「はい・・・
でも、やっぱり、星野さんとのお別れは
辛いものですね。」
君子は常子を抱きしめた。
「こうしていれば誰にも聞こえないわ。」
常子は君子の胸の中で
大声で泣きじゃくった。
*********************
常子さん
月がきれいですねと
いったとき
あれは、やはり告白だったのです。
そう思います。
鞠子は、あれは夏目漱石の逸話だと
いいましたが、
星野は本気で
アイラブユーをいいたかったと
思います。
このドラマの脚本はびっくりする
ほど緻密に書かれています。
星野がいった
もし僕を選ぶ常子さんなら僕が好きな常子
さんではない
といった言葉・・・
あれは、かなり星野にとってはぎりぎり
守った自分のプライドではと
思います。
だってあれが本当なら
常子は試されたという事でしょう。
星野はそんな残酷なことは
しない男です。
そして緊張しているときどうでも
いい半紙をするというくせは
あの、大阪の言葉は怒られているみたい
に聞こえるという話だと
思います。
もう二度と一緒に歩くことは
ないだろうと思われて
星野はぐっと来たからあの話を
して、常子を笑わせたと思います。
常子は笑いました。
だから、結婚しましょうと言ったのかと。
でも、本音は
そうではありませんが・・ということ
です。
「この辺でお別れしましょう。」
そうこれ以上話をすると
笑顔で別れることが
できなくなります。
「遠く離れていても常子さんとご家族の
お幸せをお祈りしています。
さようなら・・・・」
未練もなく、潔い別れです。
きれいな恋愛ドラマを見ているような
心が洗われるような
別れのシーンです。
・・・・
そして君子の心遣いに
感動しました。
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